「ありがとうございました~、またのご来店をお待ちしていま~す」

深々と二人、頭を下げてお客様をお見送りする。
そのお客様の顔は来店時の思い詰めた顔とはうって変わり、どこかスッキリしたような顔つきをしていた。
きっとカイの作ったオムライスが彼女を元気づけてくれたのだろう。

「悩みが晴れたのかな~、良かったねカイ」

「?…なんのこと、リク」

そっくりの片割れがきょとんとした顔でそう言った。
僕はへらりと笑いながら手を振る。

「あはは、なんでも~。それよりお腹すいた~」

「…ああ、片付けを済ませて俺達も昼食を取ろう」

「うんうん、そうしよう~!」

表のドアに『休憩中』の札をかけて、二人で店内へと戻っていく。
店の中にはいまだにオムライスの良い香りがただよっていた。