「お待たせ致しました…サンドイッチです」

___ごゆっくりどうぞ。

そう言って再び店の奥へと戻っていく店員。
物静かな人なんだな…そんなことを思いながら視線を移す。
目の前のテーブルに置かれたサンドイッチは、トーストされたパンに厚切りのハムとレタスがサンドされた定番のそれだった。

「…いただきまーす…」

手を合わせ呟く。
白い皿の上、二つ盛られたうちの一つのサンドイッチを手に持ち、口元へと持っていく。

『どうぞ、残さず食べてね』

「えっ?」

今まさにサンドイッチへかじりつこうとした瞬間だった。
私一人のはずの店内で、突然聞こえてきた声に驚く。
今の、どこから聞こえてきたの…?

『ボクはここだよ、お姉さん』

また聞こえた。
今度は集中していたから、どこから聞こえてきたのか分かる。
下だ…正しくはテーブルの上。
白いスーツと短パンを着た、ボーイッシュな小さい女の子がいた。
中に着ているベストには、ピンクと黄緑、黄色のラインがあって…色合いがまるでサンドイッチみたい。

「…あなた、もしかしてサンドイッチの“魔法”なの?」

そう聞くと、彼女はニコッと笑う。

『そうだよ、ボクはサンドイッチ担当さ!』