私は図書室の彼の、あのシリアスな雰囲気の背景を知りたがっていて、彼に取材をしたかっただけだったのか…。
ここにきても新聞部魂が邪魔をするなんて…!
しょぼくれる私に妖精様が笑いかける。
『素敵なことじゃない。あなたには熱中できるものがあるんだもの…それも青春よ。彼との恋だけが全てじゃないと思うわ』
「うーん…確かにおっしゃるとおりですね…」
『ええ、やめておきなさいな。それに、否定されて諦めがつくなら、そもそもあなたは、彼に対して本気ではないということよ』
___本気なら、反論できたでしょう?
クスクスと、行儀よく笑う妖精様の言葉に目から鱗が落ちる。
「いやはや、返す言葉もありませんな」
私に“恋愛”は、まだ難しかったようだ。
はにかみながら再びチョコレートケーキに手をつける。
はてさて…今だ出会えぬ“恋”とは、ウワサ通りのこんな甘さなのだろうか。



