「いかがでしょう!妖精様にはぜひ、彼に今後どうアプローチをかければいいかなどのアドバイスをしていただきたいのですが…!」

今後の方針…アプローチ方法…とメモ帳にペンを走らせながら妖精様の言葉を待つ。
彼女はつむっていた瞳を開き、『そうねぇ』と呟いた。

『その前にまず、聞かせてちょうだい。あなたは彼の、どこが好きだと思うのかしら?』

そう妖精様に言われ、私は視線をさまよわせながら考える。

「それは…やはり物語を感じさせるあの表情でありましょうか。手では本をめくっていながらも、心は他のことで上の空…そんな風に見えました」

『じゃあ、彼と恋人同士になれたら、何をしたいと思うの?』

「え?そ…そうですね…」

少し悩んだあと、頭に浮かんだことを口にした。

「とにかく話をしたいですね!最近なにかあったのでは?とか…悩みを聞いたり、根掘り葉掘り…」

そこまで答えてはたと気づく。
これではまるで……。

『分かってもらえたかしら?』

妖精様が残念と言わんばかりに肩をすくませる。

『あなたが彼に抱いているのは…恋ではなくて、そうね…ジャーナリスト魂というのかしら』

その言葉に私は愕然としてうなだれる。