頭を掻く拓人を前に、再び目元が潤んでくる。
本当は“黙って女の子と出かけて、今さら何を!”とこの場から去りたくてたまらないけれど、ソーダちゃんの言葉を思い出して踏みとどまった。
「………」
何度か深呼吸をしてから、ポツリと呟く。
「最初から」
「え…?」
「最初から、最後まで教えて。じゃないと、たぶん許せないから」
私がそう言うと、拓人は一瞬だけ困ったように目をそらした。
…やっぱり、浮気だったのかな…?
もしそうなら、どうすれば…。
そんな心配をする私の耳に、思いもよらない言葉が届いた。
「もうすぐ、誕生日だろ…?」
「………は?」
私の誕生日…?
確かにもうすぐ私の誕生日だけれど、でも。
それと女の子と出かけていたことに何の繋がりが……?
ぽかんとする私をよそに、拓人はこう続けた。
「お前の誕生日に、何かサプライズして驚かせようってクラスの奴らと話しててさ…今日はその飾りとかプレゼントを探しに買い物に行ってたんだ」
「…え、じゃあ、あの女の子は…?」
「誤解だから!あの子は近くの花屋の娘さん!プレゼントに花もいいかなって選んでたら、声かけられて…一緒に選んでもらってただけだから!」
「…わー…」
まさかの事実を前に他人事のような声が出た。
つまり、全部私の勘違い…?



