それは数時間前のこと。
買い物に出かけた先で、恋人の拓人を見かけて声をかけようとした。
だけどその隣には見知らぬ女の子がいて…。
私は急いでその場を離れ、この店に駆け込んだ。

「これって…浮気確定だよね?」

指先でストローをいじりながら呟く。
ソーダちゃんは『うわ、き…?』と小首を傾げていた。

「えっとね、彼女がいるのに他の女の子にも好き好き~ってなってる状態を浮気っていうの。そういうのって良くないでしょ?」

私の言葉にソーダちゃんが頷く。

『そうね、それはいけないことね』

「そう。いけないことなの」

ことの成り行きを説明している間に、私の中の悲しみは怒りへと変わっていった。
唇の先を尖らせながら、ふて腐れたように続ける。

「隣にいた子、可愛い子でね…拓人ってば鼻の下伸ばしてデレデレしちゃっててさ…最悪だよ」

チクチク。
そしてトゲトゲとした言葉を全て聞き届けたあとで、ふとソーダちゃんはこんなことを聞いてきた。

『本当に拓人くんは浮気してたのかしら?』

「え?」

想定外の問いかけに思わず聞き返してしまう。
ソーダちゃんは『うーん…』と口元に指をあてながら私の瞳を見つめた。