恋愛って、うまくいかないものなんだな。
息を切らしながら丸いドアノブを回す。
乱れる呼吸をかき消すように、ドアについたベルがカランコロンと可愛らしい音を鳴らした。

「いらっしゃ__」

「っ、すみません、クリームソーダお願いします!」

ぜぇ、はぁ。
上がった息と汗だくの顔。
そして鬼のようにつり上げた眉のまま、ギロリとした目つきで目の前の双子の店員に注文をした。

「あ…は、はい…」

「ご、ご注文、承りました~…」

驚いた様子で奥へと下がっていく二人に目もくれず、私は目についた席へと腰を落とす。
そのままテーブルに突っ伏して、足をバタつかせる。
さっきは取り乱して逃げてしまったけど、拓人に気づかれちゃったかな…?

「…拓人のばかぁ……」

他に人がいない、静かな店内。
目尻に涙を浮かべながら、ここにいない浮気者へと声を上げた。