『なら、その子に見せてあげなさいよ。アンタの弱点を』

___友達なんでしょう?
女の子が丸まった紙ナプキンを指差す。
私は口元を片手で押さえながら、目の前の女の子を見つめた。
その小さな体の後ろにはまだ残っているナポリタンがある。

「…ここで練習していってもいい…?」

もしかしたら口元につけずに食べられるコツが分かるかもしれない。
駄目もとで女の子に聞いてみる。
往生際が悪いやつって思われるかな。
ここは黙って頷いていた方がよかったかな…。

『…はぁ…アンタまた色々考えてるでしょ…もうそれが個性なら別にいいけど…そのかわり』

女の子は小さく息を吐いたあと、強気な笑顔を浮かべた。


『どうぞ、残さず食べてよね』


その言葉を合図に、私はフォークを手にとった。