しょうがないじゃんか




また、目頭が熱くなって、喉が縛られる。




こんなんじゃ教室に戻れない。




でも、惨めな姿は見せたくない。






全然大丈夫なんかじゃないのに、平気なフリをして強がった。





すぐにこの場からは立ち去らず、ゆっくり堂々と歩くこと。



涙を拭く仕草をしないこと。



鼻をすすらないこと。







――類の方を見ないこと。







歩いて立ち去ろうとしたとき、「待ってっ……!!」という声が後ろから聞こえた。





パシッ





それは私の腕を類が掴んだときの音。






まだ赤いままの目を見られないように、振り返らず精一杯の低い声を出した。






「……な、んか用……?」





でも出てきたのは弱っちい震えた声。