しょうがないじゃんか









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『立花くんに告白してる子がいた。』




しかも中庭で。



人目がつかない中庭で告白しようと思ったんだと思う。



…………私が中庭に行ったところで何をするって言うの?



あ、



そうかもしれない。


私が行ったところで何があるってんだろう。



でも、そう思ったところで私がいるのはもう、中庭の木の陰。




………引き返そうかな。




くるりと後ろを向いたとき何かが顔の前を横切った。




「ギャァァァァァ!!!!」




ご察知の通り、虫です。



ほんとは自然の神秘を尊重しなきゃとは分かっている。



ただ、それが難しいのだ。



苦手なものは苦手なのです。




そんなくだらないことを考えてた。









………さっきまでは。











「芽衣ちゃん………?」





類の声が聞こえたとき、『あ、』。



それしか浮かんでこなかった。



いや。正しく言うと、それしか考える時間がなかった。





「なんでそこにいるの……?」





もうバレバレだ。



木の陰と茂みにこのまま隠れてても、意味がない。