ブルークレールのソワレ ー甘いお菓子と公爵様の甘い溺愛ー



 エリックはマリーから預かっていた荷物を、ナタリーがいる元の家に運んでいた。お菓子作りの道具は、大事な物なので厨房に箱に入ったまま置いた。

触るとマリーが怒るので、道具は小さい頃から遠くから見ていた。触ろうとすると壊すと怒られたことがあった。マリーは怒ると怖いのだ。物思いにふけっているとナタリーが声をかけてきた。

「エリック、ありがとうね。マリーが一人ぼっちになった時、助けてくれたのね。ダニエル様から聞いたのよ」
「助けると言っても方法が思いつかなくって、若返りの薬を使ったんだ」
「えっ」
「それはダニエル様から聞いてないんだね。実は9才くらいのマリーに会えるよ」
「それどういうこと?」
「昼間は子供で夜は大人。いや、夜はいつものマリーになる」

ナタリーは説明されても、どういう訳だか分からなかった。そこへ子供のマリーが駆けて店に入って来た。

「ママ」
「マリー…」
「9才のマリーです」エリックが言った。
「マリーなのね。まあ、これはもう1つ試練があるのね・・・」

ナタリーはマリーを抱きしめた。エリックは下を向いて言った。

「おばさん、本当にごめんなさい」
「エリック、思い悩んだでしょうね。こちらこそ、ごめんなさい。びっくりしたけど、この姿だからマリーは助かったのね」

マリーを抱きしめて、思わぬ幼い頃の娘に出会えた。懐かしいやら、可愛いやらと感情が、いろいろ入り混じる複雑な思いだった。でも何よりも助かったことに感謝していた。