マリーは店が元通りで、そのまま使えると思わなかった。ダニエルに感謝してもしきれないと思っていた。何でも叶えてくれるダニエルが頼もしく思えるのだ。
その後、母親は先に家に帰っていた。マリーはダニエルの所から荷物を纏めて引っ越しの準備をしていた。荷物は少ないので、すぐに帰る用意ができたのだ。
ダニエルが荷物を馬車に運ぶように召使いたちに言いつけ、マリーを抱きかかえて移動した。右肩の骨折が治っていないの
でマリーは心配だったが、反対に抱けば大丈夫だと離さないのだ。それも嫌な気はしない。
馬車まで行くとアマンダが待っていた。
「マリオさよなら、いなくなるのは寂しいよ」
「会いにおいでよ。来たらお菓子を御馳走するよ」
「ありがとう。嬉しい。あれ、マリーさんはいないの?」
「先に帰った。僕はダニエル様が送ってくれるんだ」
「そう、良かったね。またね。本当に会いに行くからね」
「うん、待っているよ。またね」
マリーはアマンダに手を振った。馬車に乗り込んでも窓から見えなくなるまで手を振っていた。アマンダも涙を浮かべ馬車が見えなくなっても手を振った。
馬車の中のマリーの様子をダニエルは、満足気な微笑みを浮かべて見ていた。子供の姿のマリーは可愛過ぎて、いつまでも見ていられるのだ。父かと思える程、優しい眼差しをしていた。

