ブルークレールのソワレ ー甘いお菓子と公爵様の甘い溺愛ー



ダニエルは自分の乗っている馬の速度が遅くなっていると感じた。馬にも限界があるのだ。ダニエルは馬の胴体の上に立ち、馬車の扉に目掛けて飛び乗った。

だが馬の速度が落ちていたせいで、上半身だけが辛うじて中に入っていた。足を動かし反動で入ろうとした。だが揺れて更に胸あたりまでずれて、体の三分の一しか入っていない。

マリーは慌ててダニエルが落ちないように腕を掴んだ。実はマリーは邪魔だったが、必死な様子だったので払いのけられない。それにマリーを払いのけて、また転倒したら危険だ。

ダニエルは這い上がるように、力を振るい馬車の中に入るのだった。日頃の訓練が、役に立ったのだ。

「マリー大丈夫か?」
「はい。あ、ダニエル様、口元に血が」
「大丈夫だ」

マリーは自分の袖口でダニエルの血を拭いた。ダニエルは坂に差し掛かったことを感じた。速度が速まり馬は更に暴れ、取り付けていたベルトが外れると逃げ出した。

それを扉から見ると定まらない馬車の本体が坂を駆けくだっているのだ。そして二つに分かれた道が見えた。ダニエルは危険を感じてマリーを抱き寄せた。すると馬車は中央の大木に向かって突進していくのだった。