ブルークレールのソワレ ー甘いお菓子と公爵様の甘い溺愛ー



同時期、ダニエルは戦いに出る騎士のように、先頭に立ってマリーの行方を追いかけた。街を出るというのなら、この一本道を抜けるしかない。家々が立ち並ぶ場所を通り過ぎて、木々が生い茂る森に差し掛かった。やっとのことで黒い馬車の後方が見えた。そして一気に突き進むのだった。

すると黒装束の馭者の男が馬の蹄の音に気付いた。慌てて馬車を急発進して逃走するのだった。それでもダニエルだけが追い付いた。しかし狭い道で馬車の幅だけで道を塞ぐのだ。どうやっても前に出ることができない。追い抜きたい気持ちを押えて、馬車に飛び乗ることにした。

馬車と乗っている馬の距離を測り、ダニエルは思い切って飛び移った。そして馬車の後方から横に行き、馭者台まで移動して、馭者の男に襲い掛かった。ダニエルが横から腕を掴み、首を押さえつけた。離そうと暴れていたが、腕の強さに太刀打ちできず、引きずり落とされた。

男は大声で「うわー!」と叫んで落ちたので、馬車の中にいるモリスが、その大声で異常な事態だと察知した。

「どうした?」

モリスは馬車の馭者に声を掛けたが答えない。慌てて馭者台が見える小さな窓口を覗いた。そこに見えたのはダニエルだ。馬の手綱を引いて止めている姿があった。

止まっている隙に扉から出て、見つからないように馭者台に飛び乗った。二人は揉み合いになって、馭者台で殴り合った。すると馬が驚き走り出した勢いで、同時に二人が馭者台から落ちてしまった。

そして地面で掴み合いになり、同格に拳を振るっていたが、ダニエルは力ずくでモリスを押さえつけた。そこへ近衛兵特別捜査隊が駆け付けてモリスを逮捕した。
 モリスは部下たちに任せて馬車を追うため前方を見た。するとダニエルの顔色が変わった