ブルークレールのソワレ ー甘いお菓子と公爵様の甘い溺愛ー



そして壁を何度もたたいてみたが、拳に血が滲み出るだけで変化はないのだ。
 すると女性の叫び声が遠くから聞こえた。あれはマリーの声だとすぐに分かった。二人は更に焦った。ダニエルは体当たりをして壁を壊そうとした。
 
 石で出来た壁は、ダニエルを阻むように中に寄せ付けなかった。だが何度も何度も体を壁に打ちつけた。すると横から小さな四角い石が落ちてきた。そこにレバーらしきものがあり、それを下に動かすと硬い石の扉は音を立てて開いた。部屋の中に入るとドレスの胸元に血が付いたマリーが、モリスの腕の中で気切していた。

「貴様、マリーに何をした?ただでは済まないぞ」

ダニエルは叫んでいた。ナタリーは横でショックの余り声が出ない。そのまま立ち竦んでいたのだ。

「なんだ、お前たち・・・」

モリスは驚いてあとの言葉が出てこない。まさかダニエルが現れるとは思わなかったのだ。

「マリーに何をした。マリーを離せ」
「気切しているだけだ。マリーは私のものだ。お前なんかに渡せるか」

近寄って来るダニエルを権勢しょうと、モリスはマリーを抱き寄せて、短剣を首もとに当てた。後ろに一歩下がってダニエルは言った。

「やめろ。マリーを傷つけるな」

ダニエルの横にいたナタリーは、モリスの動向に驚いて、懇願するように言った。

「モリス様、マリーを助けて下さい」
「では、後ろを向け。私がいいと言うまで振り向くな」
「分かった」

ダニエルはそう言うと、ナタリーと一緒に後ろをゆっくりと向いて、モリスの気配を感じていた。