よく見ると少し離れた場所にもうさぎ形のクッキーが落ちている。二人は顔を合わせて頷いた。そして落ちていたクッキーを辿って行くと地下に到着した。
「この地下は何処に繋がっているんですか?」
「ここにはワインセラーしかありませんよ」
「そうですか。ここでクッキーが途切れているということは、隠し部屋が何処かにありそうだ」
ワインセラーに入る手前の所からは、クッキーが落ちていなかった。二人が何度探してもないのだ。ワインセラーにも入ってみたが、ワイン以外は何もなかった。人の気配すらない。
そこで最後にクッキーが落ちていた場所の壁を調べてみた。手掛かりがないかと隈なく探してみると、一か所だけ目線より少し上の壁が四角くずれている所があった。そこを押しても引いてもびくともしなかった。それを見てナタリーに不安が過ぎった。
「ダニエル様、大丈夫ですよね。私と一緒に連れ去られた女性も、何処に行ったか分からないんです」
「その女性は・・・」
「見つかったんですか?」
「いや、分かりません」
ダニエルはその女性が死体でみつかったと言えなかった。ナタリーを思うと嘘をついてしまったのだ。不安を煽ることになるからだ。そう考えると今度はダニエルが不安になり始めた。マリーがモリスの餌食になるのは許せないのだ。ダニエルでさえ不安が大きいのにナタリーが平気な訳がない。
親とは子供のことをいつまでも心配し続けるものだ。自分以上に大切な存在なのだ。いなくなれば辛いに決まっている。ナタリーは不安な言葉を呟いてしまうのだ。
「マリーがいなくなったら、どうしていいか・・・」
「大丈夫、マリーはきっと大丈夫です」
ダニエルは自分に言い聞かすように言った。

