ブルークレールのソワレ ー甘いお菓子と公爵様の甘い溺愛ー



幼い頃、モリスは貧しさの余り、両親に捨てられ孤児院にいた。その時から自分の美しさを知っていた。まだ8歳で幼いが輝くような美しさは、誰が見てもため息が出る程だった。

それを疎ましく思う子供もいた。その中で狡賢い子は、自分が良い所に貰われたいと里親が訪問してくる日にモリスを騙して何度も部屋に閉じ込めた。
それだけではない。いじめられて虐げられた日々を過ごしていたのだ。

 ある時、ルランティノワ侯爵が訪問した日があった。侯爵は美しい妻を亡くしたばかりだった。その妻を愛しすぎて後妻をもらう気にもなれず、跡取りがいないため孤児院から養子を受け入れようとしていた。
 
 どの子も行儀はいいが、受け入れたいと思う程の子供はいなかった。出直そうとしていたところ,院長室に呼ばれて移動していた。
 
 そこへ部屋に閉じ込められていたモリスが傷だらけで逃げてきた。ルランティノワ侯爵は思わずモリスを抱きかかえた。傷だらけたった顔を見て右口角に血が滲んでいたので、ハンカチを出し拭いた。
 
その顔を見て息を呑んだ。それは亡くなったルランティノワ夫人にそっくりだったのだ。侯爵にとって美しく尊い人なのだ。

その妻に似ているのだから、この子を受け入れることが使命だとまで思えた。院長室に入り、いきなり発した言葉は力強かった。

「院長、この子を養子にします。この子以外は考えられません」
「落ち着いて下さい。侯爵、よく考えてから決められた方がいいのでは。貴方にとってもこの子にとっても人生が大きく変わる決断なのですから。」
「覚悟はあります。この子は妻によく似ていて、まるで私たちの実の子ではないかと錯覚するくらいです。一生懸けてこの子を大事に育てます」
「分かりました。そこまで侯爵が言うのなら、その言葉を信じましょう」

その後、手続きをして、多額の寄付をした。そしてルランティノワ侯爵家に引き取られた。
侯爵家の後継者としてモリス・ド・ルランティノワが誕生した。