仮面舞踏会がより賑わってきた時、マリーの前にモリスが現れた。ダニエルはすぐに分かった。その姿は線が細く中性的で美しい身のこなしだった。美しいと自覚しているのだから自分自身を演出して作り上げていた。
それは本心をベールに隠し優雅で美しいモリスを演じていたのだ。好青年に見えたのは役者顔負けの演技力だ。
そしてマリーに手を差し伸べてダンスを誘う。
「お嬢さん、私と一曲踊って頂けますか?」
「はい」
マリーの手を優しく引いて腰に手をやりダンスをするために広間の中央まで行った。そして新しい曲が流れると優雅に舞い始めた。それは美しく誰もが注目していた。笑顔のマリーにダニエルは嫉妬してしまう。だが仕事だと思い返して頭を左右に振って嫌な気持ちを外に追い出した。
そんな時にたまたま広間の外に目をやった。すると廊下でマリーの母親のナタリーが空のグラスを片付けている様子が目に入った。ダニエルは急いで追いかけた。人が多いせいで見失ったと思った時に後ろから肩を叩かれた。振り向くと、どことなくマリーの笑顔に似たナタリーが笑って立っていた。
「ダニエル様ですね」
「マリーのお母さんですよね」
「はい、そうです。こんな所で会うなんて」
「マリーから誘拐されたと聞いたのですが、どうしてここにいるのですか?」
「それが数人の男達たちが私だけ、この城に置いて行くのです。そこでモリス様が助けてくれたんです。事情を話すと家が
何処か分からないというと探してくれると約束してくれて、その間ここで働かせてもらっています」
「そうですか。実はマリーがここにいるんです」
と言うと広間を指差すとモリスとマリーがいなくなっていた。慌ててダニエルは広間に入ってマリーを探すのだった。みつからないのだから余計に焦っていた。

