エリックは二人を研究室に入れて色々な薬草を用いていることを見せた。ダニエルは興味があり薬草の一部を手に取り匂いを嗅いだ。
「これは毒にならないのか?」
「確かに毒を持った薬草だが、毒だけを取り除いて成長促進をする効能を取り出す。だがこれだけではダメなんだ。東洋医学を用いて、ここでは手に入らない薬草も必要なんだ。だから、なかなか進まない」
「いくらでも出そう。全財産投げうってもいい。だから早く元に戻してくれ」
「分かっている。色々手を尽くしている」
「だったら早く」
「焦っていては失敗してしまう」
「もしかして、貴様、マリーを自分に繋ぎとめていたいからと渋って進まないのではないか」
「そんなこと。マリーが大事だからこそ慎重になるんだ。もしかしてお前はマリーを無理やり手籠めにしようとしているのか」
「そんな訳ない。正々堂々と手に入れると言ったはずだ」
「何が正々堂々だ。身分を利用して自分の者にする気だな」
二人は揉み合いになり喧嘩を始めた。口喧嘩から掴み合いになり、殴り合いになりかけた時にマリーの叫ぶような声が聞こえた。
「止めて!喧嘩しないで」
そう言うとエリックの家から出て行った。
「マリー待って。マリー、俺が悪かった」エリックが言った。
その後ろからダニエルは急いでマリーを追いかけた。馬車を横切って歩いて何処かに行こうとしている後ろ姿を抱きかかえた。そして優しく抱きしめた。
「私のために傷ついて欲しくないの」
ダニエルの胸に縋りつくようにして泣いていた。
「ごめんよ。もう喧嘩はしない」
マリーは更に強くダニエルにしがみついた。
扉からエリックが二人の様子を見ていた。ダニエルはマリーを抱きかかえたまま、馬車に乗り込んで帰って行った。
残されたエリックは肩を落としてしゃがみ込むのだった。マリーを取り戻したいと焦る切なく辛い思いが込み上げてくる。

