ブルークレールのソワレ ー甘いお菓子と公爵様の甘い溺愛ー


マリーはモリスを後ろにおいて、ダニエルとヒソヒソ話し始めた。

「ダニエル様、もう帰りたいんですけど。モリス様は犯人じゃない気がします」
「待て、必ず何かあるはずだ」
「本当ですか?何度か会っていますが、何の進展もありません」
「いや、もう少しの辛抱だ」
「分かりました」

二人の間にモリスが割り込んできて、ダニエルが気に食わないので睨みつけていた。マリーは怪しまれないために笑顔で接していた。

そこでモリスはダニエルがいないかのように振る舞い。マリーに夜会の招待状をそっと渡した。

「マリーさん、今度、私の屋敷で夜会をします。出席してくれませんか?その時に貴女の作ったお菓子が食べたい」

ダニエルは招待状が見えたので、そこでわざとすれ違う。その際に小声で言った。

「マリー、チャンスだ」

 マリーは頷いた。モリスに向かって微笑みを浮かべて言う。

「喜んで出席します。お菓子もお持ちいたします。では、夜会を楽しみにしています」

マリーは優雅に会場を後にした。残されたモリスは何としてもマリーを手に入れたいと思いながら後ろ姿を見送った。
 マリーが帰るとすぐにモリスも馬車に乗り込みルランティノワ侯爵家に帰ることにした。
マリーのいない夜会など興味が無いのだ。

 モリスは馬車の中ではマリーのことを考えていた。(何度もアプローチしたが、興味も示さない。この私がこれ程までに優しく接しているというのに)そう考えていた。
 
色々な女性を相手にしてきたが、マリーだけは落とせない。それこそが惹かれる原因だ。モリス自身は何が駄目なのか考えた。

手に入らないと思うと余計に欲しくなる。招待した夜会の日に攫ってしまおうか、行方が分からなくなっても誤魔化せる方法はないものかと思考を巡らせた。妙案は浮かばない。それでもマリーを手にしたい。欲望は高まるばかりだ。