ダニエルはモリスの出席する夜会を調べマリーと参加した。ダニエルはモリスから目を離さない。それはマリーを危険にさらすことになるからだ。
だがモリスはマリーを見つけると離さなかった。夜会中はずっと一緒にいた。ダニエルは気が気でなかった。マリーの手を握り踊り出す姿を見ているだけで、胸が痛み嫉妬心が沸き上がる。これが調査でなかったら我慢できなかっただろうと思っていた。
ダニエルはマリーとモリスの会話を逃さないために令嬢にダンスの誘いをする。曲が変わる度にダニエル目当ての令嬢が順番に入れ替わる。ある意味アイドル的存在のダニエルが男好きだろうと子供好きだろうと構わないらしい。だから踊る相手に事欠かない。
だがマリーは気になっていた。モリスと踊るのにダニエルが令嬢と軽やかに横で舞っている。モリスのことは眼中にない。モリスの話の1つも興味を示せない。捜査の一環なのに楽しそうに令嬢と踊っているダニエルが気になった。
「マリーさん、どうしました」
「いえ何も」
「マリーさんの興味がある物って何ですか?」
「えっと・・・」ダニエルを目で追っていた。それに気付いてモリスは言った。
「えっ、まさかルーヴァンノワ公爵ですか?」
「いえいえ、ただの雇い主ですので」
「ああ、お菓子職人だったね」
「はい、何も得意なものはないのですが、お菓子を作ることは好きで興味があります」
「じゃ、あちらの公爵邸でなく私の所に来ませんか?私専属になってお菓子を作って下さい。一掃のこと私と結婚をしましょう」と言い終わらない内にダニエルがモリスの背中にぶつかった。
「あ、失礼」と言い笑顔を見せた。
「なんだ。またお前か」
モリスが嫌そうな顔をして言うと踊っていた音楽は終わった。マリーはモリスから少し離れてダニエルに合図をする。声を出さずに(帰りたい)と口の動きで。それを分かってもらえないので、ダニエルの近くまで行った。
「あの、ダニエル様。帰りますか?」
「いや、もう少し楽しんでいこう」

