ブルークレールのソワレ ー甘いお菓子と公爵様の甘い溺愛ー



  ダニエルは管を巻くマリーをかついで馬車に向かった。マリーはルミエーヌに手を振って別れた。ルミエーヌもマリーの可愛らしさに思わず手をふった。
 馬車の中でもマリーは、先程のテンションで、まだ覚めやらぬ酒の力を借りて言うのだった。

「私を抱きしめたりキスをしたりと、その気にさせておいて、ルミエーヌや私と踊っていた男性にまで手を出して」
「だから捜査の一環であって、そんな下心はない」にやにやしながら答えていた。
「捜査と言えば済むと思って、私の気持ちはどうなるんですか?」
「あなた以外は、目に入れないのだがな」
「それは私だけでなく、他の人にも言っていますよね」
「言っていないが」
「嘘ばっかり浮気者だとルミエーヌも言っていました」
「私の話を信じないで、初めて会った令嬢の言葉を信じるのか?」
「じゃ、私に信じさせて下さい」
「分かった」

ダニエルはマリーの傍に行き自分の膝の上に座らせた。そして顔を自分の方に向けさせて優しいキスをした。マリーはダニエルを押して上半身を倒した。大胆なマリーを驚いて見ていた。すると口を押さえ出た言葉は。

「気持ち悪い」
「待て、マリー、待つんだ」

起き上がろうとすると、マリーが覆いかぶさり胸に顔を埋めた。途端にシャンパンを吐いて眠ってしまった。マリーを胸に置いたまま頭を抱えたが、吐いたものはシャンパンだけで少量だった。

何も食べずに飲んだのは緊張していたのだと思った。棚から布を出してマリーの口とシャンパンで汚れたお互いの服を拭いた。もう一枚、新しい布をだして、汚れた自分の服を覆って、眠っているマリーを抱きしめた。

 公爵邸に帰るなりマリーを起こして、メイドに風呂に入れるように指示した。そしてアマンダが率先して、マリーを受け取り浴槽で体を洗った。

「まあまあ、本当に綺麗だわ。お姫様だ。マリーさん、さあ出て下さい。寝込むと溺れちゃいますよ」
「アマ?」
「そうよ」
「アマ、ありがとう」
「さあ、風邪ひかないように、しっかり拭いて。ダニエル様が新しい寝巻のドレス用意してくれましたよ」
「ありがとう」
「ダニエル様がお部屋を貸してくれましたよ。疲れているようだから、ふかふかのベッドで休んでいいそうです」
「いいわよ。自分の部屋に行くわ」
「駄目です。私が怒られちゃいます」

 着替えるとアマンダは押し込むようにダニエルの部屋に入れた。マリーは広い部屋に落ち着かないが、広いベットのふわふわな寝具が嬉しくて、遠慮なく眠ることにした。ベッドの中に入ると疲れていたせいで、すぐに眠りについた。
 
 そこへガウンを取りにダニエルが来た。ノックをしても返事がないので扉を開けた。するとマリーが気持ち良さそうに眠っていた。あまりにも可愛い寝顔なのでベッドに腰かけ、頭を撫でた。

「お疲れ様。よく頑張ったな。十曲も踊れば、ぐっすりのはずだ。お休み」