ブルークレールのソワレ ー甘いお菓子と公爵様の甘い溺愛ー



 ダニエルの腕の中で離れようともがく男は、片手で抱き上げられたり、回されたりと激しく動かされている。その度にショーの舞台だと錯覚している招待客は、大いに沸き上がり拍手が鳴り止まない。音楽が終わると同時に男を抱きしめて片手を上げて、皆に挨拶をした。

「わー!」ショーの舞台を観劇している心地の招待客は歓声をあげた。
男はダニエルから離れ、捨て台詞を言う。

「私は男には興味が無い」

踵を返し去って行った。その後も鳴り止まない拍手に挨拶をして、静かにその場から離れようとした。マリーが左側の端にいるのは分かっているので、そこへ向かうのだった。その途中、隊員が一人、慌ててダニエルの元へくるのだ。

「隊長、マリーさんが酔って大変です」
「何。お前たちは何をしていた」
「止めたのですが、先程の令嬢と管を巻いています」
「ええ!」

マリーの元へ行くと笑いながらダニエルの悪口らしきことを言っていた。

「私が踊っていたのによ。目当ての男を見るなり入れ替わるなんて考えられる?」
「それは酷い。ダニエル様はなんて浮気者でしょう」
「そうよ。ところで貴女の名前は?私はルミエーヌ」
「マリーです」
「マリー、気を付けなさい。男の見る目を養わないと女が泣くことになるわ」
「ルミエーヌ様、分かりました。ダニエル様は駄目ってことですね」
「そうでもないけど」
「いいえ、駄目です。浮気者ですから」