ブルークレールのソワレ ー甘いお菓子と公爵様の甘い溺愛ー



どう考えても大人が子供になることは無理だと誰もが思うのだ。だからこそ驚かずにはいられない。ダニエルは驚きの表情が、そのまま張り付いている。それでもマリーは話すことを決意していたので続けた。。

「マリオットは昼間の私で、夜は元に戻るんです」
「言っている意味が分からないのだが」
「エリックの若返りの薬で、昼間だけ子供になるの」
「若返りの薬、そんな物が開発されていたのか?」
「黒装束の男が追いかけて来て、それを逃れるために、エリックが薬を持って来てくれて飲みました」
「子供になると、分かっていて飲んだのか」
「それは知らずに」
「あいつ、何てことしたんだ」
「でも、それを飲まなかったら、あの遺体の女性は、私だったかも知れません。だからエリックは悪くない。私を助けるための苦肉の策だったと思うんです」
「それでもマリーには子供になると知らせるべきだ」
「そうなんですけど、あまりに早く黒装束の男に見つかったものだから、エリックは仕方なく・・・」
「どうであれ腹立たしい」
「そんなに怒らないでください。エリックは必ず元に戻す薬を開発すると約束してくれました」
「元に戻る薬が無いのか!じゃぁ、昼間はずっと子供なのか?」
「はい」
「何てことだ」

 ダニエルは頭を抱えた。マリーに結婚を申し込んでも子供の姿では式も挙げられない。それはマリーが承諾してのことだが、妄想はエリックだけの物でなくダニエルさえも妄想するのだ。恋愛感情は空想の中に浸ってしまうらしい。