エリックがマリーのために情報提供しようと思った。子供のマリーはダニエルに情報が言いずらいだろうと考えたのだ。
「そう言えば、マリーは黒装束の男達に追いかけられていた。俺が助けたが、もうちょっとで誘拐されかけた。その後、マリーの店を閉店する時に、その場でも踏み込んで来ていた。マリーがいないと分かったら出て行った」
「誘拐未遂で終わった被害者の娘たちが、口々に黒装束の男たちのことを言う」
「そいつらが犯人だな」
「いや、相当な人数がいなくなっている。犯人は裏にいるだろう」
「じゃ、もしかしてマリーは、また狙われるかも知れないのか」
「そうだな、二度も探していたのなら、いつ攫われても、おかしくないかも知れない」
「困るよ。マリーに、もしものことがあったら、俺は生きていけないよ」
「大丈夫だ。私がそんなことはさせない。特別捜査隊の名にかけても」
「頼むよ。俺のマリーのために」
「止めろ。俺のマリーじゃない。私のマリーだ」
「何だと、正々堂々とマリーをかけて戦ってやる」
「望むところだ」
二人は睨み合っていた。ダニエルは仕事中だと忘れるくらいマリーのことになるとムキになってしまう。エリックと話していると時間が惜しくなってきた。時間をつぶしている間はないと思えたのだ。
決裂したかのようにダニエルは不機嫌になって出て行った。マリーのことを思っていたら、心配になって顔を見たくなった。仕事を早々に済ませて帰りたいと初めて心から思った。
だが仕事だ。仕方がなく数軒ほど回って、聞き込みはある程度、情報を収集した。同じ情報が多かったが、確かな情報が集まったと確信した。それを情報交換する為に本部に戻った。
マリーに会いたいと思いながらも仕事がなかなか終わらない。マリーを守るためだと言い聞かせてダニエルは、捜査状況を部下達と共有していた。

