一目惚れの彼は推しでした

夕焼けの海で琉と一緒に作ったフレーズ。
その瞬間、澪の胸には「人は誰かと関わることで、自分の中の新しい可能性に気づけるんだ。」という実感が残った。

しかし翌日、職場に戻ると―現実が重くのしかかる。

凪先生「澪先生、また遅い! 子どもの安全より自分優先なの?澪先生見てるとイライラする!」
先輩保育士の厳しい声が響く。
(……まただ。凪先生正論だけど、私、本当に向いてないのかもしれない。)

子どもたちの笑顔は大好きなのに、職場の人間関係や体力的な限界に押しつぶされていく自分。
「辞めよう」と決意したのは、その日の帰り道だった。

数日後。
そのことを琉に打ち明けると、彼は驚いた顔をしながらも真剣に耳を傾けてくれた。

琉「澪さん……怖くなかったんですか? 仕事辞めるって、大きな決断ですよ」
澪「怖いです。でも、このまま“本当は違う”って思いながら続ける方が……もっと怖いです」
琉「……そうですね」
琉はしばらく考え、笑みを浮かべた。
琉「澪さんらしいな。ちゃんと自分の心に正直なんだ」

その言葉が、澪の背中を押した。