連絡先を交換してから数日。
琉からは「今リハーサル中」「今日の練習はボロボロだった」といった、飾らないメッセージが時折届いた。
澪にとってはそれだけで十分に胸が躍ったが、ある日――
『澪さん、もし時間あったらリハ見に来ませんか?』
そんな誘いが届いた。
(……り、リハ!? ファンでもなかなか見られない裏側を……私が!?)
動揺しつつも、澪の答えはひとつだった。
『行きたいです』
―そして当日。
ライブハウスの扉を開けると、普段は観客としてしか入れないステージが目の前に広がっていた。
照明も派手な演出もない、むき出しのステージ。そこに立つ琉は、いつもの華やかな姿とは違っていた。
「お、来てくれた」
額に汗をにじませながら、琉が笑う。
「……ここ、俺たちの“戦場”っすよ」
ドラムの音が響き、ギターのリフが絡む。
リハーサルは思っていた以上に厳しい雰囲気で、メンバー同士が意見をぶつけ合う場面もあった。
「そこ違ぇって!テンポ走りすぎ!」
「いや、こっちに合わせろよ!」
ピリピリとした空気の中、澪はただ立ち尽くす。
ステージの裏側は、決して夢のように綺麗なだけではない。その現実を初めて目にした。
曲が一段落すると、琉が澪の方へ歩いてきた。
琉「驚きました?」
澪「……正直、はい。ステージの上ではすごくカッコよくて完璧に見えるのに、裏ではこんなに大変なんだって」
琉「そうっすよ。俺たちだって人間だし、ぶつかることも多い。でも……その先にしか“本物”は作れないんです。」
琉の瞳は真剣だった。
その姿を見て、澪の胸の奥に熱いものが広がる。
(この人……本気で、自分の全部を音楽に懸けてるんだ)
リハが終わり、メンバーが機材を片付け始める中、琉がふと呟いた。
琉「澪さんに、こういう裏側も見てもらいたかったんです」
澪「どうして……ですか?」
琉「ファンとしてじゃなく、“一人の俺”を知ってほしいから」
澪は息を呑んだ。
その言葉は、まるで心の奥に直接届いたようで、彼女の“推し”は、ただの憧れの存在から、少しずつ“特別な人”へと変わり始めていた。
琉からは「今リハーサル中」「今日の練習はボロボロだった」といった、飾らないメッセージが時折届いた。
澪にとってはそれだけで十分に胸が躍ったが、ある日――
『澪さん、もし時間あったらリハ見に来ませんか?』
そんな誘いが届いた。
(……り、リハ!? ファンでもなかなか見られない裏側を……私が!?)
動揺しつつも、澪の答えはひとつだった。
『行きたいです』
―そして当日。
ライブハウスの扉を開けると、普段は観客としてしか入れないステージが目の前に広がっていた。
照明も派手な演出もない、むき出しのステージ。そこに立つ琉は、いつもの華やかな姿とは違っていた。
「お、来てくれた」
額に汗をにじませながら、琉が笑う。
「……ここ、俺たちの“戦場”っすよ」
ドラムの音が響き、ギターのリフが絡む。
リハーサルは思っていた以上に厳しい雰囲気で、メンバー同士が意見をぶつけ合う場面もあった。
「そこ違ぇって!テンポ走りすぎ!」
「いや、こっちに合わせろよ!」
ピリピリとした空気の中、澪はただ立ち尽くす。
ステージの裏側は、決して夢のように綺麗なだけではない。その現実を初めて目にした。
曲が一段落すると、琉が澪の方へ歩いてきた。
琉「驚きました?」
澪「……正直、はい。ステージの上ではすごくカッコよくて完璧に見えるのに、裏ではこんなに大変なんだって」
琉「そうっすよ。俺たちだって人間だし、ぶつかることも多い。でも……その先にしか“本物”は作れないんです。」
琉の瞳は真剣だった。
その姿を見て、澪の胸の奥に熱いものが広がる。
(この人……本気で、自分の全部を音楽に懸けてるんだ)
リハが終わり、メンバーが機材を片付け始める中、琉がふと呟いた。
琉「澪さんに、こういう裏側も見てもらいたかったんです」
澪「どうして……ですか?」
琉「ファンとしてじゃなく、“一人の俺”を知ってほしいから」
澪は息を呑んだ。
その言葉は、まるで心の奥に直接届いたようで、彼女の“推し”は、ただの憧れの存在から、少しずつ“特別な人”へと変わり始めていた。
