駅前を並んで歩く。 春休みの街は人でにぎわっていたけど、不思議とふたりだけの時間みたいに感じられた。 「これからも、ちゃんと見てるよ」 不意にそう言われて、立ち止まる。 「……それ、ずるい。 また顔が熱くなる」 彼は少し照れくさそうに笑って、私の手をそっと取った。 そのぬくもりが、あの日の手紙よりもずっと確かで、ずっと甘くて。