卒業式から数日後。


まだ少し肌寒いけれど、道端の桜は確かに色づき始めていた。


待ち合わせた駅前に着くと、先に来ていた彼が手を振ってくれる。


制服じゃなくて、少し大人びた私服姿。


なんだかそれだけで胸がどきっとした。


「今日も来てくれてありがと」


「……うん」


それだけの言葉なのに、心臓が落ち着かなくて。


自然に笑顔になっている自分に気づく。