卒業式の朝。 体育館のざわめき、窓から射しこむ春の光。 みんなが笑顔で写真を撮り合う中、私はどこか落ち着かなかった。 ……今日で終わっちゃうんだ。 机の中の手紙。 努力を見守ってくれた文字たち。 そして、姿の見えない“あなた”。 感謝を伝えたい。 どうしても、この気持ちを伝えたい。 でも人混みの中で、ただ胸がざわつくだけだった。