家に帰る道すがら、私はずっとその手紙を握りしめていた。 冷たい冬の風の中で、ただ一つ確かな温もりのように感じながら。 ……本当は、もっと知りたい。 “誰か”じゃなくて、“裕翔くん”って呼びたい けれど、その願いを口にする勇気は、まだ持てなかった。