次の日。


机の中に入っていたのは、いつもの白い紙。



『風邪ひかなかった? 気をつけてね』



「……っ!」


頬が一気に熱くなる。


傘を差し出してくれたのは――やっぱり、この人なんだ。


私のこと、こんなふうに気にかけてくれるなんて……


胸が甘く、じんわりしびれるように高鳴る。


名前も知らない、顔も分からない。


それでも、今はもう確かに“特別な人”になっていた。