帰り道。

胸ポケットに入れた紙をそっと触る。


……まさか、ね。

あの人が、こんな手紙を書いたりするわけない。


私には遠い存在だから。


そう言い聞かせながらも、頭の中では何度も彼の横顔がよみがえっていた。