扉を開けたら奇跡は起こってた。
「司っち………?」
「愛……愛なのか?」
すっかり痩せ細った彼女を目の前に、俺は嬉しさが込み上げてゆっくりと近寄った。
「ずっと、司っちの声が聞こえてた。優しいこだまみたいに」
「そうか……」
自然と涙が溢れて、頬を濡らしていて。
「連絡できなくて、ごめんな」
「………ちょっとそれは許さないかも」
「……ごめん」
「でも……水に流してやりましょう!!元気な愛ちゃんですから」
「……ありがとう」
「堅苦しいこと言わないでよねー。私だって……悪かったなってあとから思うことはあったから」
「お前は何も………悪いことはしてないさ」
「証明は?」
彼女の手をつかみ、跪いた。
「こんな事しか、俺は出来ない。でも、これが償いの一歩になるのなら」
手の額にキスをして。
愛は恥ずかしそうに顔をそらした。
本当は俺のためを思って、まだ我慢していることはあるんだと思う。
だけども、これしか出来ない。
もちろん、彼女と深い関係になりたいと願ったりもしているがーーーそれは償いとは言わないから。
けじめをつけさせてほしいとの願いで、俺はすべてを守り通す覚悟はしているつもりだ。
よくわからない事も多いいが、それが大人だと知ったから。
だけども………悲劇は続いて。
「父親から言ってやろう。もう手遅れだ」
心臓病が悪化して、もう手術しても治らないと言われた。
別病棟の病室の隅一角。
死刑宣告を受けた後ろに、俺の後ろに死神が住んでいるのではないのかと呪った。
「嘘……だ」


