無我夢中で走る。
俺は走りに走って、とある場所に向かう。
雨から雪に変わり、日差しがてったと思えば、また雪。
年越しの天気の気まぐれさは、めちゃくちゃだ。
それでも、向かわなければならないところがある。
愛が「もし………もし………願うのであればーーーもう一度あなたに会いたい」とメールが来たから。
出向いた先は病院。
直ぐ様手続きを済ませた後、俺は愛の元へ走り出す。
「愛!!」
「司っち………やっと来てくれた……」
弱々しい声で、横たわる愛。
「どうしたんだよ………なんでこんなに元気がないんだ……」
「もうそろそろ、お迎えが来そうみたいで……」
「兄ちゃん来とったんやな。海や覚えてるか?」
隣りに彼女の額に冷えピタを貼る海さんが。
「ごめん……、愛」
「うんん。いいんだよ………あれ……、林檎先生は?」
「別れたよ………でも、なんでそれを?」
愛はそっぽを向いて、「噂を聞いたの」と。
あぁ、我慢させてたのかもしれない。
あの時、和也が出ていったのってまさか……。
「あの瞬間、お前はいたのか?」
愛は答えない。
でも言葉を返さないというのなら、それが答えなんだろう。
「ワイは仕事があるから、またな」
と海さんに睨まれ。
「………知らなかった。知らなかった」
「そう………」
気まずい沈黙。
「だけど………もう、俺はーーー心を決めたんだ。お前とーーー一緒にいたいって」
「もう………遅いかもね。それ……」
「へ?」
「もう………一カ月しか生きられないかもって。お父さんに言われた」
「なんで………」
「神様のイタズラ的な?」
力抜く笑う愛ーーー。
その姿は、初めてあったあの日よりも、確実に力を奪われているように見えて。
「嘘だ………嘘」
「嘘じゃないよ。本当だよ」
現実を受け止められないとは、この事だった。
「でも……今度からずっと病院に来るからさ!!許してくれなくても!!!」
愛は暫く黙って。
「ちょっと考える時間をください」
と追い出されてしまった。
それからーーー彼女は本格的に眠り込んでしまって昏睡状態に陥ってしまった。
その寝顔はオーロラ姫が眠る、美しい眠り姫。
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