「やっぱり………やっぱり、私達会わないのかもね」
「ごめんね。愛ちゃんこんな事に………」
最初のデートだっていうのに、大晦日の午後から大量の雨が降ってきた。
雪が降るだなんて警告しておいて、こんな仕打ちはないな……。
そして、自前の心臓病が悪化した。
デートの先を変えてくれたスーパーマーケットのフードコートで倒れ、今病院にいる。
「大丈夫だよ………愛ちゃん僕達、まだ付き合って一週間だよ………そんな事で僕は嫌いにならーーー」
「知らないとでも………思ってるの?」
「え?」
鳩に豆鉄砲を撃たれたかのような、そんな驚き方だ。
馬鹿馬鹿しいな………わからないわけない。
「私ね小学生の頃ずーっと、患者さんと暮らしてたから、いろんな人と会ってたから人を見る目がこう見えても肥えてるんだよ?」
黙り込む和也くん。
「和也くん、やっぱり………林檎先生と同盟組んで悪い事企んでたでしょ?」
意地悪をする、子供のように微笑んで覗き込んでみせた。
柔らかい日差しがてってきたけど、顔はよく見えない。
だけど、私は許すつもりはない。
「それにね、さっきお父さんとすれ違ったの知ってる?貴方のこと………ものすごく睨んでた。相当な事企んでるんでしょ?」
「最初は君が欲しかったんだ………それは間違いない。でも、そうゆう愛ちゃんも、事情を知ってこんなボロボロになってるんでしょ?司のせいで」
「うんん。望んでやってることなの。それを貴方に決められる筋合いはないよ」
「ならどうして、あの時泣いていたの?愛ちゃん!!!」
「もう二度と、彼のそばにいられなくなるっていう私の弱さ………かな。私って弱いよね………」
俯く彼の頬から、数粒の涙が流れる。
「そんなの………こんなの………こんな事ーーー俺は認めないよ!!ドナー拒否までして、こんなの!!」
「それ以上やめて。和也くん」
ピシャリと静かに、私は彼の言葉を遮った。
「私ね、楽しかったから」
「………別れたくないよ」
「一緒にクリスマスのツリーの上の星空を眺めたり、誰の先生の話が面白かったか話したりするのとっても楽しかった」
「……残酷すぎるよ……こんなの………」
彼は膝から崩れ落ちてしまった。
だけども優しく、私は抱きとめた。
「でもね、私ーーー貴方のこと好きにやっぱりなれそうにない」
「俺がーーー」
「そう………君がストーカーだったから」
とどめを刺すように、私は彼の耳元でそう囁いた。
目を見開いて、項垂れる彼。
「ごめんね。でも、この願い聞き入れないっていうのならーーー私は貴方を追放する覚悟はある」
ゾッとする青ざめたような顔をした、彼はゆっくりと立って「わかった………わかったよ」と頭を下げた。
去り際に。
「でもね、愛ちゃん」
「何?」
「この恋に、ハッピーエンドはないよ?」
真剣な瞳を見据えられて、鼓動がます。
でも………もう、私は覚悟はできている。
逃げるつもりもないし、立ち退くつもりもない。
「覚悟はできてるから、ほうっておいて」
それから………彼の姿を二度と見ることは無かったんだ。
悲劇は重なっていくものだから。
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