「………王子様はお父さんじゃないの?」
「お父さんは、もうこの世界には居ないのよ。
貴方のお父さんも、私の「元王子さま」も」
首を傾げた。
愛おしそうに撫でる母さん。
「どうしていなくなったの?」
「大きくなったら、分かるわ。
きっとね」
母さんはそれ以上、喋ろうとしなかった。
それは、俺を愛していたから、「父さんを捨てたのか」と。
当時、自分の中で勝手に昇華して。
目の前の「魔女」を都合よく信じていた。
だが実際の所、よく存じ上げない。
というか、知りたくないだけではある。
結果を知れば絶望するだろう。
きっと良くないっていう真実だけは、定められてるって。
そう思う。
だってーー「そうだろう」と、無意識に確定するんだ。
そんな事が、目の前であったんだ。
あの日。
「ねぇ?」
だってーー、一瞬悲しそうな顔をしていたから。
俺が支えてやろうって。
ふと、思って。
「なあに、司?」
ぐっと、母さんの手を握って。
「ママの王子様になったら、どんな事が出来るの?」
誓ったんだ。
当時の俺は、「母さんと結婚する」って。
その合図を示すように、薬指を引っ掛け伝えた。
そしたら流石に「それ」見抜いた、母さん。
だけども答えなかった。
その薬指を離したから。
だからだ。
この時、直ぐに見破れば良かった。
人の好意をこうやって、踏みにじる人間だったというのを。
知れば良かったんだ。
ーーそれでも「魔女」は微笑んでーー俺を支配する。
真っ赤な透明な真っ白で白桃のような肌。
それををゼーリーの様に纏うリジュネ。
答えるようにパサリと脱ぎ捨て見せた柔肌。
それは冗談なしに美しい裸体で。


