若干焦げているから、手作りなのだろう。
そう言えば噂では、愛の母親は居ないと言っていたっけ。
「でもお前はいいな。夢があって」
「先生には、夢がないの?」
「この年で夢を持てるほど、日本社会は甘くないからな」
「公務員なのに?」
「そう、公務員なのにだ。夢を持つくらいなら、無気力上等だ」
「やっぱり大変なの?先生って」
「大変さ。合わないやつでも、平等に接しないといけないからな」
「私は違うよね?せーんせ!!」
「………お前が一番かもな」
「ひど!?!?」
「お前が変なこと言うからだろ……」
でもなんだかんだ、こうして駄弁ることは居心地がいい。
何だか、取り戻せなかった小さい頃の時間を取り戻しているような気分になる。
それでもだ。
「俺は………やっぱり何のために教師をやっているのか、わからなくなる時があるんだ。二十すぎた大人なのにだ」
「………やっぱり学校に来るの辛いの?」
「正直者が、馬鹿を見るってことがなきにしもあらずだからな」
「先生と生徒の事?」
「先生も、生徒も。スクールカーストってやつが一番理解しやすいかな」
「あぁ……そっか。多感な時期だもんね。同い年の子もなんとなーくそれを感じるかな。生きづらいよね。人間なんて、皆同じなはずなのに」
本当にそうだ。
言いかけた時にいけない、バスが来ちゃうと立ち上がりスクールバスをかっさらう愛。
「じゃあ、先生また明日ね」
「え………おお」
軽々とした足取りで、帰っていく愛。
だけども不思議だ。
ああいうふうに、帰っていくことはできるのに、体のどこかしら悪いんだな………。


