ドアノブを持つ手が止まった。
「友達?」
振り向く。
純粋無血な瞳をこちらに向けた愛。
「友達……一人もいないのか?」
「こんな状態で、信頼できる人いると思う?」
何だか、胸の奥に氷柱のようなものが引っかかって。
「……お前、孤独か?」
「そりゃー、ずーっとね」
「それは……本当なんだな?」
「もちろんだよ……。
私だって本当はこの体育祭のリハーサル参加したいよ。
でもね駄目だっていうんだ。
両親が」
「両親の事どう思う?」
「好きだけど……分からない」
その瞬間、俺は何処かでこの光景を観たことがある気がした。
それはなんだろうと、瞬時に考えた時。
答えは見えた。
「お前は、昔の俺にそっくりだ」
「へ?」
「両親を………母親を好きだけど、憎んでいた頃の俺に。
ーーいや、今の俺も変わってないが」
引かれただろうか?
でも、別にたかたが生徒だから。
そんなものだろう。
そしたら、天使は微笑んで。
「司先生って………どんな人生歩んできたの?
そんな言葉、普通でないよ」
と彼女はーーー受け入れてくれた。
蔑みの目線でもなく、呆れの目線でもなく。
ーーー恐怖の目線でもなく。
まんべんな陽の光浴びる、ひまわりのような明るい笑顔。
俺の心の壁が崩れるような音がして。
「はい、これ。
こうしておけばよかったね」
あっけにとられていると、事は進み。
彼女は近寄ってきて、ぽんと胸に押し当ててきた。
「私の携帯番号。
ラインが交換できないのならーー携帯番号!!
それなら、先生安全でしょ?」
「お前………それは俺が犯罪にーーー」


