いつも通り教室に入ると、一番最初に目に入ったのは陽人君の席の隣に立っていた女の子だった。多分同じ学年ではない女の子だった。背は小さめで、あまり肌が焼けてないのが印象に残った。多分単純に外にあまり出ていないんだろうなと思った。
「ねえねえあの子誰か知ってる?」
隣に立っていた菜々に聞いてみることにした。菜々は不思議そうな顔をして、
「え、知らないーでも初めて見る顔だから中2の転校生とかじゃない?」
確かに言われてみると一度も見たことないなと思う。
すると後ろのドアから松本君が入ってきた。菜々はすぐに松本君の方に行き、2人で話し始めた。相変わらず仲が良いなと改めて思う。一人になった私は自分の席に座った。
一時間目が終わり。休憩時間になった。気になっていた人を陽人君に聞いてみることにした。
「ねえ陽人君、朝喋ってた子って誰?」
「あーあの子神崎美桜って子なんだけど。最近近くの家に引っ越してきてね。中2らしい。」
陽人君の近所の子ってことか。でもだからって教室まで来るかな。
「みさちゃん?そうなんだね。ごめんね、変なこと聞いちゃって。」
顔の前でそう言い、手を合わせた。
「全然全然。」
よかったと言い、私は自分の席に戻った。なんだか不思議な気持ちだった。
帰り道、いつも通り菜々と自転車で帰っていた時、
「ねえ、あれ見てよ。」
そう言われ、私は菜々が指を指した方を見ると陽人君と...美桜ちゃんがいた。
「ねえ、あの2人って結局どんな関係だったの?」
「あ、なんか最近陽人君の家に引っ越しきた子らしいの。神崎美桜ちゃんって名前らしい。」
ふーん、そうなの。と菜々が言った。もしかして美桜ちゃんは陽人君のことが。そんなことは考えたくない。
私たちは見なかったことにして、家に帰った。家に帰ってもずっと2人のことを考えていて何も進まなかった。
あの日以来、少し話す機会が少なくなり気まずい気がする。文化祭は一緒に回りたい。
9月末、今年の文化祭、私たち中3は模擬店を開くことになった。私たちのクラスは、たこ焼き屋とドリンク屋をすることになった。
菜々と色々な屋台を回っていると私たちが当番の時間が来た。
玄関の前の屋台に行くと陽人君と同じクラスの男子2人もいた。前の当番の子たちから引き継ぎ私たちは焼き始めた。
「結構今日来てくれてるね。」
「ね、美味しいって言ってくれるから嬉しいよね。」
そんな会話をしながら2人で回していると、陽人君と手が触れた。
「あっ...。」
少し戸惑ってしまうと陽人君がニコッと笑ってくれた。その笑顔でなんだか嬉しくなる。
菜々たちと代わり、陽人君とお会計をしていると、順番に並んでいた美桜ちゃんが来た。
「あっ、陽人君みーっけ。陽人君いつその仕事終わるの?あ、あとたこ焼き一つ下さい。」
「はーい。僕は後30分ぐらいで終わるけど。」
陽人君の声はいつも通りだった。私は、菜々から受け取ったたこ焼きを陽人君に渡した。
「はい、これたこ焼き。」
「ありがとっ。じゃあまた来るね。」
そう笑顔で言った美桜ちゃんは走ってどこかへ行った。
30分が経ち、私たちの仕事は終わり、次の子たちに引き継ぎをした。
すると美桜ちゃんが走ってきた。
「陽人君、ちょっと来て。」
そう言い、陽人君の手を引っ張り体育館の裏側に連れて行った。私はなんとなく嫌な予感がして、菜々とついていってみることにした。
「初めて会った時一目惚れしました。付き合って下さい。」
えっ...。思わず声が出なかった。
「ごめんなさい。美桜ちゃんとは付き合えない。ごめん。」
そういい陽人君は反対側の方へ走って行った。私はほっと胸をなでおろした。
私と菜々は体育館裏から離れ、ジュースを飲みながら椅子に座っていた。
「私さ、もしあのまま陽人君と美桜ちゃんが付き合ったらどうしようかと思ってめっちゃ焦ったんだよね。」
菜々がふいに小さな声で話し始めた。
「私も。もう人生の終わりかと思ったもん。」
だよね、と菜々が少し苦笑いしながら返事をした。
後ろから、菜々と言う声がし、振り返ると松本君と陽人君がいた。
「あ、2人とも。」
私は小さい声で呟いた。
「4人で回ろっ。」
松本君が笑顔でそう言い、私たちは頷き合い4人で回ることになった。
相変わらず賑やかな文化祭の中、私たちは隣のクラスのポテト屋を並んでいた。
陽人君と隣に並び、少し肩が触れそうになり胸がドキドキする。
「花凛、ポテト何味にする?」
「んーやっぱり塩かな。」
「ちょうど、僕も塩にしようと思ってたとこだから大きめのにして2人で割らない?」
少し恥ずかしそうに陽人君が言った。
「いいね、それ。そうしよっ!」
そんな話をしていると列が進み、私たちの番になった。
「はい、ポテト塩味大きめです。」
ありがとうございます、と2人で言い、私たちは空いてる席に座った。
お互いポテトを取る時に手が当たるのが恥ずかしかった。顔が熱い。
「美味しいね。」
「うん。花凛と分けれて良かった。」
ちょっと照れくさそうに言う陽人君。可愛い。
「私もだよ。」
私たちの文化祭は、特別な時間だった。多分生涯一生忘れないんだろうなと思った。
10月に入った。
今日は待ちに待った修学旅行の日だった。
朝、学校の校庭に集合した私たちは、先生の指示でバスに乗り込んだ。東京駅に着くまで、隣の席の菜々と話しているうちにあっという間に着いた。そこから私たちは新幹線に乗り、京都で降りた。
一日目は、残った時間で京都を観光。グループは花火の時に一緒だった、菜々と松本君とそして陽人君。
まず私たちは清水寺に向かった。自然と菜々と松本君は少し離れた所にいて、私と陽人君は2人になっていた。
有名な清水寺の舞台に着くと思わず感嘆の声が出た。
「わあ、紅葉がすんごく綺麗だね。私、秋に今日来たの初めて。」
「僕も。こんな綺麗な景色花凛と見れて嬉しい。」
えっ、その言葉に思わず頬が赤くなった。もしかしてやっぱり私って脈アリなのかな。
「嬉しい。私も陽人君と見れて幸せ。」
陽人君は満面の笑顔でクスッと笑った。
「そうだ、帰りにお揃いのお守り買おうよ。」
「いいね、それ!」
私たちはお揃いのお守りと可愛いキーホルダーも買った。まわりの景色なんかよりも私は陽人君をずっと見つめていた。
その後も伏見稲荷大社の千本鳥居をくぐり、二条城のうぐいす張りを耳を澄ませて聞き、最後に京都水族館でペンギンと可愛いイルカショーを見て私たちはホテルに戻った。
2人の距離はどんどん近づいている気がする。
2日目は念願のユニバだった。
学年みんなで入場した後、私たちはグループに分かれて行動のはずが、結局2人とは分かれてしまった。
私たちは念願の浮遊感が凄すぎるジェットコースターに乗ることにした。
列は微妙に長く、自分が乗ろうと誘ったものの、怖くて怖くて心臓がバクバクしていた。
「花凛大丈夫?怖いんだったら全然やめるよ。」
そう陽人君が私を心配してくれてそう言ってくれた。
「ちょっと緊張してるだけだよ。」
そう私は強がった。
すると陽人君が私の手を握った。温かい手でゆっくりと。私も握り返した。
「これで大丈夫でしょ?」
「うん。」
恥ずかしくて顔が赤くなる。手汗が出ていないか不安になる。
順番が来て、私たちは前から3番目だった。
ライドがゆっくりと上昇していく。相変わらず陽人君と私はまだ手を握っている。パーク全体が少しずつ見えるようになってきたと思い、景色を楽しんでいるとライドが一気に落ちた。
「きゃーっ!」
思わず叫んでしまった。繋いでいる手を強く握り返した。私はこの嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ち、そして怖い気持ちが混ざり、全部ぐちゃぐちゃになりそうなぐらいドキドキした。
ライドが終わるといつの間にか手が離れていた。だけどお互いにもう一度繋ぐのはちょっと気まずい。それでももう一度繋ぎたい。
日が暮れ、だんだんと暗くなると同時にハロウィンのゾンビが出てきた。
つい怖くて、陽人君と手を繋いでしまった。しかも恋人繋ぎ...。
「ゾンビめっちゃ怖いけど、大丈夫。僕が守るから。」
そう優しく陽人君が言ってくれた。陽人君はとても幸せな笑顔で私も笑顔になる。
「うん、ありがとう。」
告白したいのに、恥ずかしい。もう付き合ってるのと同じな気がするけど。この時間がずっと続けば良いのにな。
3日目は大阪を自由に回る。
朝から私たちは海遊館に行った。2日前にも行った気がするけど。
大きすぎる水槽の中にいるジンベイザメや可愛いエイ。他にも色々な魚がいてすごく満喫できた。
夕方になり、陽人君の提案で梅田に行った。
少し待ってて、とワクワクした表情で言われ、ドキドキしながら待っているとハートの鍵を持って陽人君が戻ってきた。
「はい。これ。」
「えっ、これって。」
「入学した時からずーっと好きでした。付き合って下さい。」
お互いの顔が少しずつ赤くなっていく。ずっと待ってたその言葉。もちろん答えは決まってる。
「はい。よろしくお願いします、で良いのかな。」
そういいお互い顔を見合わせクスッと笑った。
「よし、じゃあせっかく大阪来たんだしお揃いのいっぱい買ってこ。」
こう私は提案する。
「うん。」
そういい私たちは恋人繋ぎで歩き始めた。お揃いの可愛いキーホルダーとシャーペン。そして最後におみくじを引いた。
2人とも、もちろん大吉。私はこんなにも優しくてかっこいい人と一緒にいられるなんて幸せ者だなぁと思った。いつまでも陽人君と一緒にいたい。
「ねえねえあの子誰か知ってる?」
隣に立っていた菜々に聞いてみることにした。菜々は不思議そうな顔をして、
「え、知らないーでも初めて見る顔だから中2の転校生とかじゃない?」
確かに言われてみると一度も見たことないなと思う。
すると後ろのドアから松本君が入ってきた。菜々はすぐに松本君の方に行き、2人で話し始めた。相変わらず仲が良いなと改めて思う。一人になった私は自分の席に座った。
一時間目が終わり。休憩時間になった。気になっていた人を陽人君に聞いてみることにした。
「ねえ陽人君、朝喋ってた子って誰?」
「あーあの子神崎美桜って子なんだけど。最近近くの家に引っ越してきてね。中2らしい。」
陽人君の近所の子ってことか。でもだからって教室まで来るかな。
「みさちゃん?そうなんだね。ごめんね、変なこと聞いちゃって。」
顔の前でそう言い、手を合わせた。
「全然全然。」
よかったと言い、私は自分の席に戻った。なんだか不思議な気持ちだった。
帰り道、いつも通り菜々と自転車で帰っていた時、
「ねえ、あれ見てよ。」
そう言われ、私は菜々が指を指した方を見ると陽人君と...美桜ちゃんがいた。
「ねえ、あの2人って結局どんな関係だったの?」
「あ、なんか最近陽人君の家に引っ越しきた子らしいの。神崎美桜ちゃんって名前らしい。」
ふーん、そうなの。と菜々が言った。もしかして美桜ちゃんは陽人君のことが。そんなことは考えたくない。
私たちは見なかったことにして、家に帰った。家に帰ってもずっと2人のことを考えていて何も進まなかった。
あの日以来、少し話す機会が少なくなり気まずい気がする。文化祭は一緒に回りたい。
9月末、今年の文化祭、私たち中3は模擬店を開くことになった。私たちのクラスは、たこ焼き屋とドリンク屋をすることになった。
菜々と色々な屋台を回っていると私たちが当番の時間が来た。
玄関の前の屋台に行くと陽人君と同じクラスの男子2人もいた。前の当番の子たちから引き継ぎ私たちは焼き始めた。
「結構今日来てくれてるね。」
「ね、美味しいって言ってくれるから嬉しいよね。」
そんな会話をしながら2人で回していると、陽人君と手が触れた。
「あっ...。」
少し戸惑ってしまうと陽人君がニコッと笑ってくれた。その笑顔でなんだか嬉しくなる。
菜々たちと代わり、陽人君とお会計をしていると、順番に並んでいた美桜ちゃんが来た。
「あっ、陽人君みーっけ。陽人君いつその仕事終わるの?あ、あとたこ焼き一つ下さい。」
「はーい。僕は後30分ぐらいで終わるけど。」
陽人君の声はいつも通りだった。私は、菜々から受け取ったたこ焼きを陽人君に渡した。
「はい、これたこ焼き。」
「ありがとっ。じゃあまた来るね。」
そう笑顔で言った美桜ちゃんは走ってどこかへ行った。
30分が経ち、私たちの仕事は終わり、次の子たちに引き継ぎをした。
すると美桜ちゃんが走ってきた。
「陽人君、ちょっと来て。」
そう言い、陽人君の手を引っ張り体育館の裏側に連れて行った。私はなんとなく嫌な予感がして、菜々とついていってみることにした。
「初めて会った時一目惚れしました。付き合って下さい。」
えっ...。思わず声が出なかった。
「ごめんなさい。美桜ちゃんとは付き合えない。ごめん。」
そういい陽人君は反対側の方へ走って行った。私はほっと胸をなでおろした。
私と菜々は体育館裏から離れ、ジュースを飲みながら椅子に座っていた。
「私さ、もしあのまま陽人君と美桜ちゃんが付き合ったらどうしようかと思ってめっちゃ焦ったんだよね。」
菜々がふいに小さな声で話し始めた。
「私も。もう人生の終わりかと思ったもん。」
だよね、と菜々が少し苦笑いしながら返事をした。
後ろから、菜々と言う声がし、振り返ると松本君と陽人君がいた。
「あ、2人とも。」
私は小さい声で呟いた。
「4人で回ろっ。」
松本君が笑顔でそう言い、私たちは頷き合い4人で回ることになった。
相変わらず賑やかな文化祭の中、私たちは隣のクラスのポテト屋を並んでいた。
陽人君と隣に並び、少し肩が触れそうになり胸がドキドキする。
「花凛、ポテト何味にする?」
「んーやっぱり塩かな。」
「ちょうど、僕も塩にしようと思ってたとこだから大きめのにして2人で割らない?」
少し恥ずかしそうに陽人君が言った。
「いいね、それ。そうしよっ!」
そんな話をしていると列が進み、私たちの番になった。
「はい、ポテト塩味大きめです。」
ありがとうございます、と2人で言い、私たちは空いてる席に座った。
お互いポテトを取る時に手が当たるのが恥ずかしかった。顔が熱い。
「美味しいね。」
「うん。花凛と分けれて良かった。」
ちょっと照れくさそうに言う陽人君。可愛い。
「私もだよ。」
私たちの文化祭は、特別な時間だった。多分生涯一生忘れないんだろうなと思った。
10月に入った。
今日は待ちに待った修学旅行の日だった。
朝、学校の校庭に集合した私たちは、先生の指示でバスに乗り込んだ。東京駅に着くまで、隣の席の菜々と話しているうちにあっという間に着いた。そこから私たちは新幹線に乗り、京都で降りた。
一日目は、残った時間で京都を観光。グループは花火の時に一緒だった、菜々と松本君とそして陽人君。
まず私たちは清水寺に向かった。自然と菜々と松本君は少し離れた所にいて、私と陽人君は2人になっていた。
有名な清水寺の舞台に着くと思わず感嘆の声が出た。
「わあ、紅葉がすんごく綺麗だね。私、秋に今日来たの初めて。」
「僕も。こんな綺麗な景色花凛と見れて嬉しい。」
えっ、その言葉に思わず頬が赤くなった。もしかしてやっぱり私って脈アリなのかな。
「嬉しい。私も陽人君と見れて幸せ。」
陽人君は満面の笑顔でクスッと笑った。
「そうだ、帰りにお揃いのお守り買おうよ。」
「いいね、それ!」
私たちはお揃いのお守りと可愛いキーホルダーも買った。まわりの景色なんかよりも私は陽人君をずっと見つめていた。
その後も伏見稲荷大社の千本鳥居をくぐり、二条城のうぐいす張りを耳を澄ませて聞き、最後に京都水族館でペンギンと可愛いイルカショーを見て私たちはホテルに戻った。
2人の距離はどんどん近づいている気がする。
2日目は念願のユニバだった。
学年みんなで入場した後、私たちはグループに分かれて行動のはずが、結局2人とは分かれてしまった。
私たちは念願の浮遊感が凄すぎるジェットコースターに乗ることにした。
列は微妙に長く、自分が乗ろうと誘ったものの、怖くて怖くて心臓がバクバクしていた。
「花凛大丈夫?怖いんだったら全然やめるよ。」
そう陽人君が私を心配してくれてそう言ってくれた。
「ちょっと緊張してるだけだよ。」
そう私は強がった。
すると陽人君が私の手を握った。温かい手でゆっくりと。私も握り返した。
「これで大丈夫でしょ?」
「うん。」
恥ずかしくて顔が赤くなる。手汗が出ていないか不安になる。
順番が来て、私たちは前から3番目だった。
ライドがゆっくりと上昇していく。相変わらず陽人君と私はまだ手を握っている。パーク全体が少しずつ見えるようになってきたと思い、景色を楽しんでいるとライドが一気に落ちた。
「きゃーっ!」
思わず叫んでしまった。繋いでいる手を強く握り返した。私はこの嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ち、そして怖い気持ちが混ざり、全部ぐちゃぐちゃになりそうなぐらいドキドキした。
ライドが終わるといつの間にか手が離れていた。だけどお互いにもう一度繋ぐのはちょっと気まずい。それでももう一度繋ぎたい。
日が暮れ、だんだんと暗くなると同時にハロウィンのゾンビが出てきた。
つい怖くて、陽人君と手を繋いでしまった。しかも恋人繋ぎ...。
「ゾンビめっちゃ怖いけど、大丈夫。僕が守るから。」
そう優しく陽人君が言ってくれた。陽人君はとても幸せな笑顔で私も笑顔になる。
「うん、ありがとう。」
告白したいのに、恥ずかしい。もう付き合ってるのと同じな気がするけど。この時間がずっと続けば良いのにな。
3日目は大阪を自由に回る。
朝から私たちは海遊館に行った。2日前にも行った気がするけど。
大きすぎる水槽の中にいるジンベイザメや可愛いエイ。他にも色々な魚がいてすごく満喫できた。
夕方になり、陽人君の提案で梅田に行った。
少し待ってて、とワクワクした表情で言われ、ドキドキしながら待っているとハートの鍵を持って陽人君が戻ってきた。
「はい。これ。」
「えっ、これって。」
「入学した時からずーっと好きでした。付き合って下さい。」
お互いの顔が少しずつ赤くなっていく。ずっと待ってたその言葉。もちろん答えは決まってる。
「はい。よろしくお願いします、で良いのかな。」
そういいお互い顔を見合わせクスッと笑った。
「よし、じゃあせっかく大阪来たんだしお揃いのいっぱい買ってこ。」
こう私は提案する。
「うん。」
そういい私たちは恋人繋ぎで歩き始めた。お揃いの可愛いキーホルダーとシャーペン。そして最後におみくじを引いた。
2人とも、もちろん大吉。私はこんなにも優しくてかっこいい人と一緒にいられるなんて幸せ者だなぁと思った。いつまでも陽人君と一緒にいたい。

