制服世代

少しの沈黙のあと、

「だけど⋯⋯私はバカだしガキっぽいし、高峰みたいな優等生に想われるような子じゃないよ」

「奥居って、誰も気にとめないような、教室の後ろの花瓶の水を毎日入れ替えたり、みんなが親なんてうざいとか言っても、家族との時間も大事にしてるし、イチローにも優しくしてくれて。何より、明るくて話しやすくて、何故かなんでも話したくなる⋯⋯そんな、自分にないものを持ってる子に惹かれるのは、必然なんじゃないかな」

あまりにも意外で、どう答えていいのかわからない。

柄にもなく、黙り込んでしまった。

「ごめん、困らせたりして。勉強のほう、続けよう」

「え?ああ、うん⋯⋯」

何事もなかったように、高峰はわかりやすく勉強を教えてくれた。

そして、帰りはまた自宅まで送ってくれ、その途中で、

「あのさ⋯⋯!」

なんだか、思い切ったように高峰は言う。

「なに?」