制服世代

「鋭いね。あの子はちょっと繊細過ぎて、学校には行けてないんだ」

「そう⋯⋯」

「でも、奥居には懐いてる。もし嫌でなければ、たまに顔見せてやってくれた嬉しいな」

「私なんかでいいなら、構わないよ」

「ありがとう。やっぱり、奥居って優しいんだな⋯⋯」

「え?」

小さなテーブルの向かい側で、高峰は珍しく頬を染め、視線は教科書に向けたままで言う。

ふと、あのバレンタインのチョコのことを思い出す。

「ねぇ⋯⋯高峰に聞きたいことがあったんだけど」

「ん?どのあたりがわからない?」

「勉強のことじゃなくて⋯⋯!例のチョコレート、後輩から預かったって言ってたけど、どんな子だった?」

「うーん⋯⋯それが、全然覚えてないんだよ」

「それは、実在しない子だから⋯⋯?」

思い切って、核心に迫った。

高峰は、ゆっくりと視線を上げる。

なんだか、切ない眼差しで⋯⋯。