制服世代

なんだか、妙に緊張しながら学校へ向かう。

教室では、いつも通り隣の席で高峰が本を読んでいる。

「おはよ⋯⋯」

必死で自然を装って言うと、

「おはよう」

いつもと何も変わらない穏やかな笑顔で高峰は返す。

しかし、いつもなら他愛ない話もするのに、今朝は何の話題も思いつかない。

気まずさの中、

「あ、そうだ」

高峰のほうから言い出したのは、

「何?」

「期末試験の勉強、また一緒にしない?」

まるで、あの短い手紙なんてなかったような言葉。

「そ、そうだね。今度こそ、カンニングなんて言わせないようにも」

「じゃあ、また放課後に」

「うん」

内緒の約束をした直後、

「英玲奈!あれ、なんか今日はいつも以上に髪型に気合い入ってない?」

いつもの仲間たちがやってくる。

「それ、どうやるの?私にもやってよー!」

「いいよ⋯⋯」

なるべく、声のボリュームを落として言う。