制服世代

しかし、他の子のように一言だけのメッセージが、なかなか書けない。

それどころか、宛名を書くのにも躊躇している。

何を書こうか考えあぐねた結果、

「去年は色々とありがとう」

と、実に薄っぺらい一言だけ。

それさえも、何故か緊張した。

投函するときにも、何故かハガキの束の真ん中のあたりに挟んでおいた。

何をしているのやら⋯⋯。

我ながら呆れる。



正月になると、親戚が自宅にやって来て、お年玉をくれる。

友達と夜に集まって、カウントダウンや初詣というのは、母ちゃんから「まだダメ」と言われているが、お年玉を貰える正月は、1年で最も嬉しい日だ。

親戚が帰った後、部屋でニヤニヤしながら金勘定していると、

「いつまで守銭奴みたいなことしてるの!年賀状が届いてるわよ」

母ちゃんの声に、そうだったと気づく。

誰かに盗られたりしないよう、机の中にお年玉の束をしまうと、鍵をかけた。