制服世代

「奥居。試験勉強の時に使ったノート持ってる?」

隣から高峰が言い、私はカバンをひっくり返して、ノートを探してみる。

「あった」

「よかった。貸して」

高峰は、試験勉強した時に使ったノートを教師に突きつける。

「これが何だと言うんだ」

「奥居さんが、一生懸命勉強した証拠ですよ。ご覧になったらどうですか?」

渋々ノートに目を通した教師は、憮然としてノートを突っ返すと、

「じゃあ、授業を始める」

そう言って背を向けた。

「その前に、奥居さんに謝ってください」

高峰が言うが、教師は無視して授業を始めようとし、クラス中がざわつき始める。

いつの間に、麻美や他の友達が私のところに来てノートを見ると、

「間違いなく、これは英玲奈の筆跡だね!」

「うん。このクセのある文字は他の人には真似できないよ」

「英単語とか漢字、涙ぐましいほど練習したんだね⋯⋯。これだけ頑張ったら、成績が上がっても不自然さは何もないわ」