制服世代

「図書館だと黙ってないといけないし、俺の家でいいんじゃない?祖母とイチローも居るから、両親の帰りが遅くても怖くないでしょ?」

可笑しそうに言われる。

「怖くないでしょ、って⋯⋯。まぁ、別にいいけど」

王子様みたいな顔をしていても、他の男子みたいに助平なことを考えたりするのだろうか。


高峰の家は、昔ながらの日本家屋だった。

最近では減りつつある、拡大家族。

三世代どころか、四世代の同居。

おばあさんに挨拶し、高峰の部屋に通される。

高峰の部屋で、真っ先に目に飛び込んできたのは、“バグダッド・カフェ”のポスター。

「この映画、私も観たよ」

「昔の映画だけど、知ってるんだ?」

「うん。古い映画は結構好きだから」

「へぇ⋯⋯。おっと、映画の話を始めたら止まらなくなりそうだから、勉強、始めようか。苦手なのはどのあたり?」

そう聞かれても、全部苦手としか言えなくて困る⋯⋯。