制服世代

欲望の赴くままに食べても、背が伸びているせいなのか、太ることもない。

「英玲奈は成長期なんだから、お兄ちゃんは余計なこと言わないの」

母ちゃんがフォローしてくれたのをいいことに、もう何人前かわからないぐらいの肉を食べ続ける私。


お手洗いに行って戻る途中、誰かとぶつかりそうになった。

「あ、すいません」

一言謝って、相手の顔を見ると、なんと私服姿の高峰だった。

何か話しかけようと思ったが、いつかのクラスメイトのように、嫌がられるのではないかと逡巡してしまう。

「俺は別に、家族と一緒のところを見られたって気にしないよ」

そう言ってクスクス笑われた。

「そっか⋯⋯てか、そうだよねぇ?別に恥じるようなことじゃないし」

「うん。だけど、恥ずかしく思う人も結構いるし、それもごく自然なことらしいけど」

「ふーん⋯⋯。あ、家族と一緒ってことは、イチローも?」