制服世代

私がいいと言っているのに、高峰はイチローも巻き込んで、家まで送ってくれた。

遊び疲れた上に、歩き疲れた様子のイチローを背負い、高峰は来た道を戻ろうとする。

「あの⋯⋯!」

私が呼び止め、振り返る高峰。

「ありがと。その⋯⋯送ってくれて」

高峰は何も言わず、ただ微笑むと、ゆっくり背を向けて再び歩き出す。

なんとも言えない不思議な気分で、その後ろ姿をぼんやりと見ていた。



「ただいまぁ⋯⋯」

「おかえり。遅かったわね。今日は部活なかったんじゃないの?」

「え?まぁね⋯⋯」

「寄り道してたんでしょ。もう日暮れが早いんだから、気をつけなきゃダメよ」

クラスの男の子が送ってくれたから大丈夫⋯⋯という言葉は、言いかけてすぐ飲み込んだ。

いつも、母ちゃんには何でも話してきたのに。

兄ちゃんは、相変わらずビデオゲームに夢中。

父ちゃんは、キッチンでうろうろしながらあれこれ母ちゃんに話しかけ、邪魔だと叱られている。