兄ちゃんは今、大学1年生。
彼女が居るという話は聞いたことがないものの、もし今、子供ができたから大学をやめて結婚するなどと言い出したら、父ちゃんは、
「学生の分際で、よそのお嬢さんを孕ませるとは何事だ!」
と、兄ちゃんをぶん殴るだろう。
父ちゃんは細かいことにこだわらない性格だが、昭和の親父のような感覚も持ち合わせているから。
「よくわからないまま、イチローが生まれてね。本音を言えば、ジェラシーもあったよ。あの頃の俺はブラコンだったし、いきなり、知らない女とイチローに兄さんを取られたような気がして。両親も、いざ孫が生まれたら、やっぱり可愛くて仕方ないみたいだったから、自分の居場所がなくなったような気もした」
ブラコンだの、小さい子にジェラシーだの、大人っぽくてミステリアスな高峰のイメージとかけ離れた言葉が飛び出して、つい面喰らう⋯⋯。
しかし、ふと気づいた。
彼女が居るという話は聞いたことがないものの、もし今、子供ができたから大学をやめて結婚するなどと言い出したら、父ちゃんは、
「学生の分際で、よそのお嬢さんを孕ませるとは何事だ!」
と、兄ちゃんをぶん殴るだろう。
父ちゃんは細かいことにこだわらない性格だが、昭和の親父のような感覚も持ち合わせているから。
「よくわからないまま、イチローが生まれてね。本音を言えば、ジェラシーもあったよ。あの頃の俺はブラコンだったし、いきなり、知らない女とイチローに兄さんを取られたような気がして。両親も、いざ孫が生まれたら、やっぱり可愛くて仕方ないみたいだったから、自分の居場所がなくなったような気もした」
ブラコンだの、小さい子にジェラシーだの、大人っぽくてミステリアスな高峰のイメージとかけ離れた言葉が飛び出して、つい面喰らう⋯⋯。
しかし、ふと気づいた。



