二度と来ない夏と君の笑顔



「じゃあ、あの空いている席に座ってくれ」


 藤村先生が指を指したのは俺の席の隣。

 肝心なことを忘れていた。俺の隣の席、一番窓際の席が空いていたんだった。なんて声をかけるべきなんだろう。そこまでコミュ力があるわけでもないし、こういう初対面で話しかけるのは苦手な方である。


「はじめまして、よろしくね?」


 色々考えているうちに彼女は席まで移動してきていたようで俺に話しかけてきてくれた。
 さっきまで色々考えていたのが少しバカバカしく感じる。でも決して彼女が悪いわけではない。たった一つのことに考えすぎてしまうのが悪いんだ。


「あ、よろしく...」

「ねぇ、名前なんて言うの?」

「琥珀...成瀬琥珀」

「琥珀くん?いい名前だねっ、てか...私達名字一文字違いだね笑」

「成瀬...七瀬...あ、ほんとだ」

「もし結婚して名字変わっても違和感ないね笑」

「え...?」

「んふふっ、冗談」


 なぜ彼女はそんな事を言ったのだろう。今日話したばかりの人にこんなことを普通言うだろうか。

 まぁでも、たしかに言う通りだけれど...


「琥珀くん、夏休みっていつからなの?」

「あー...一週間後ぐらいかな......」

「そうなんだ...ねぇ夏休み遊びに行こうよっ」

「え、俺と...?」

「うん、琥珀くんとがいい」


 今日は色々と初めてのことが多すぎる。初めてあった子になんか本当か嘘かわからないような冗談を言われ、クラスの子...いや、女子に初めて遊びに行こうなんて誘われた。